沖縄の建築家・金城豊氏が設計した民泊施設「クニンドー」は、南風原町にあるクニンドー遺跡の近隣に位置し、地域の歴史や文化と深く結びついた建築作品です。この施設は、金城氏の建築哲学である「建築はカタチではなく思想である」 を体現しており、地域との調和や人と社会を結び付けることを重視しています。
「一緒に過ごす」ことの価値を設計のコンセプトとして考えられている施設です。
グループ旅行や家族旅行の場合、
――そういった「共有の記憶」が生まれる場所の提供としてデザインされてます。
所在地 | : | 沖縄県南風原町 |
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リフォーム | : | 2025 |
構造 | : | 鉄筋コンクリート造 |
延床面積 | : | 100平米 |
設計 | : | 金城 豊 |
地域の歴史との融合: 施設名「クニンドー」は、近隣の歴史的遺跡であるクニンドー遺跡に由来しています。この遺跡は、グスク時代に築かれた「土のグスク」として知られ、地域の有力者が居住していた可能性が示唆されています。
建築の思想
金城氏は、建築を通じて地域の記憶や文化を未来へ継承することの重要性を強調しています。
彼の設計は、地域の特性や歴史を捉え、周辺との調和を図ることを重視しています。
玄関前「やちむん」のモニュメントは金城豊の姉で陶芸家の金城 有美子作
建材として随所に使われている「琉球石灰岩」
元はテーブルだった「琉球杉」をベッドのヘッドボードに流用
リフォームの際に取り払われた壁の名残を残し「サンゴ」敷き詰めた。
地域との調和
「クニンドー」は、地域の風景や文化を尊重し、周囲の環境と調和するよう設計されています。例えば、近隣の「アカジャンガーの家」では、地域の記憶を再現するために琉球列島固有の植物を植栽し、過去の風景を現代に蘇らせています。
このように、「クニンドー」民泊施設は、地域の歴史や文化を尊重し、建築を通じて人と社会を結び付けることを目指した作品です。金城氏の建築哲学が反映されたこの施設は、訪れる人々に沖縄の豊かな歴史と文化を感じさせる空間となっています。
Kunindoの大きな特徴である大壁は、日常感のある外界への視界を遮ることで非日常を演出しています。真上から入る太陽光をうまく活用することで明るさをしっかりと取り込み光と影が織りなすコントラストによって特別な空間を更に魅力的に演出します。
太陽光を取り込む空間にある屋上へと続く階段が落とし込む影が印象的
室内に設けられた天窓から落とし込まれる光のグラデーション
職人の手作業で塗った漆喰の痕跡も光と影によって味を深めます。
玄関裏の部屋には植えられた木々の影が風に揺られて表情を作ります。